クレヨンしんちゃん ちょー嵐を呼ぶ 金矛の勇者 をみた

野原しんのすけ五歳が、勇者として悪い侵略者と戦うお話。
とりあえずっていう感じにぼんやりとみてるだけだと、重湯みたいな感じの毒にも薬にもならない映画。映画見たわあっていう感じだけ残る。

こまごまある野原夫婦の会話とニュースとかなんだかよくわからないパロディで笑える。たぶん子供に付き合ってみてる人がときどき退屈しないようにっていうことなんだろうなっていう感じ。政治的な話題とか夫婦喧嘩、のろけとか。あとは中盤までになんどか唐突に子供向け映画らしいミュージカルテイストの歌が挿入される。もしかすると子供って途中まで楽しく見てしまえば惰性でのこりはみれてしまうだろうっていうことかもしれない。

パロディとか笑うところに関してはいろいろ時事ネタとか夫婦の他愛ない会話とか、しんのすけの台詞とか、あったけれど、なんだかオタク受け狙ってますみたいなところも多かった。
ヒロインが堀江由衣だったり、ほかの声優がすごくよかったり。
序盤の戦闘機の戦闘シーンもそうで、たいていのオタクユーザーはここを見て満足しそう。飛行機がやりそうなことをだいたいやってたし。よくある逆光で姿をけすとか、岩場ぬけとか橋をくぐるとか盛り上がるマニューバはたいていやってた。

パロディでいうと途中にでてくるガンダムとなのはなんだけど、よくみてみると、マジンガーとクリーミーマミ。なんでへんなミスリードしたのかわからない。
ほかの笑った、面白かったところっていうと、しんのすけの台詞とかに多くて、「銃犯罪?!」 とか「卑怯とか幼稚園で習ってないから……」のあとの「二人がかりなんて卑怯だゾ !!!」とかひまわりがもろにしゃべるところとかがある。
マックの台詞もコテコテでおもしろくて、「ま、まさか、この俺様がぁああ --」って死んだりしておもしろい。
夫婦の会話とかのわらったらよさそうなところは、だいたいどれもただの私語みたいな内容だし、なんだかシュールなのもおおくて少しついていけなかった。
特に「これからはエコカーの時代だ 」「しろくまのためにもね」っていうのが一番意味がわからなかった。唐突過ぎて恐怖すら感じた。
ニュースとかでてくる政治的なネタも設定資料集の戦闘機の横にかかれてる美しい金づくりとかみたいな、どう笑っていいやらわからんっていう感じだった。

ストーリーをかんがえるなら「オラは野原しんのすけ 5さい !」っていう台詞にあるようにしんのすけが自信喪失から立ち直るアイデンティティを取り戻す話。
親や学校の先生に対する不信感や仲間たちとの意識のズレなどの社会的な否定を受けてしまったしんのすけがいかに立ち直るかの話。
そのために、全編にわたってしんのすけの孤独な戦いになっていて、ほかの映画のような、野原一家ファイヤー !とか春日部防衛隊ファイヤー !がないから盛り上がれない。しかし、そういう意図だと思ってみれば、ケツだけ星人をやろうとしたのにだしかけたおしりをしまってしまったしんのすけが、アイデンティティを取り戻して、ケツだけ星人ぶりぶり !!!ってやったところで すごく盛り上がる。しんのすけ !!!!ってなる。ケツだけキャンセルはかなりくる。完全にしんのすけの心が折れてる。そのあとなんで立ち直ったかがよくわからなかったけど、「オラは野原しんのすけ5歳」ってよわよわしく何度も言う様子は痛々しかった。なんで立ち直ったかはちょっとよくわからなくて、友達(ギンギン)と恋人(キンキン)がいれば、げんきになるよってことかもしれない。野原一家の戦いのあたりで、両親に許すって言って、「オラはひまわりの兄 (略)ひまわり組、野原しんのすけ5 さい!!!」でアイデンティティ復活とおもったら、がっつりへこむのはその後なのはなんか腑に落ちなかった。

あとは性別の話があって、どうやら、黄色で植物がおんな、黒で動物がおとこ。
しんのすけが黒のウサギ、ひろしが黒のネコ、ギンギンが黒の犬、アセダークが黒の竜、マックが黒のサメ、みさえが黄色い服に花、ひまわりが、黄色い服に双葉。プリリンは靴が黄色いだけで植物がわかんないしもしかして男かなとおもったら映像特典の設定資料で花が書いてあっておんなのこであることが確認できる。マタは黄色が少ないけど黒がなくて胸のりんごでおんなのこなのがわかる。マックの戦闘機がサメなのは米軍機なのかなとおもったけど、実はサメで男なのかとおもって、うまくカモフラージュされたなぁと思った。あとはアセダークは竜のときも人型のときもおなかは黄色で、じつはオカマなのかなとおもう。登場シーンもまわりが植物だったし。

アセダークの話だと、アセダークの声が重複してるとか、序盤のマック、プリリンをたしなめるシーンの「品がないものは」とかっていうところで左右のかおを順番にうつしたり、野原一家の前に現れたシーンの「私に従え !」のあたりで鏡にうつったところとか完全に二人いるように見えて、それで、それぞれが男女で黒と黄色なのかなとおもったんだけど、最後のほう二人に分裂してもあんまりなにもおきなくて、どっちもおとこだったしで、よくわからない。
プリリンも黄色いのは靴だけで、たしかに花もかいてあったけど、使われてる色はほとんど黒だし、色と象徴で性別がわかれてるっていうのは、話の上でマタの性別がわかりますよってくらいしか意味ないし、マタはすぐ自分でおんなだっていうし、たまたまそうなってただけで意味はないんじゃないかなって感じがする。

性別と絡んで、性的な表現どうこうは結構キツくて、金矛がかなりひどい、なんか、猛烈に汚らしい。金矛がひどすぎで、大人の女性(みさえ、プリリン)にどちらも花があてがわれてるのもゲスな理由なんじゃないかと勘ぐってしまう。

登場キャラでいったら、プリリンはキューティーハニー的な服で良いとおもうし、マタは堀江由衣ボクっ娘で貧乳で「しんちゃんはボクが守る !!」でロイヤルストレートフラッシュだった。すごくいいと思う。すごくいいと思う。僕もチューとかされたいしおっぱいさわったりしてみたい。

堀江由衣でてたり、金田朋子だったり、あと間宮くるみとか小桜エツ子とか佐久間レイとかでててすごくいい。小桜エツ子間宮くるみすごい好き。

なんかじっくりみてたらいろいろ見るところがあっておもしろかったけど、自分を取り巻く社会のなかで失った自信をとりもどすって中学生っぽいというか、それは5歳児がやることじゃないだろって印象だった。