こんにゃくとわたし

 人生も四半世紀過ぎた頃から味に好みが出てきて不味いで食べ物を判断するようになった。それまでの僕は口に入れてよいかどうかが食品の評価基準だったように思う。それはもう「これは飲み込んで良いので星5!リピート確定です!」という有様だった。
 また、ガムは飲み込まないのに食品と見做すことから、これに倣い食品の解釈も拡大された。
 例えばビー玉は飲み込めないが舌触りが良いのでガムのようなもの、プラモデルのランナーも飲み込めないが噛むと熱を持って食感が良いのガムと同じという具合だ。
 またそれとは逆に一般的に食品と思われるものも私には食品と思えないものがあった。エビやカニなどの甲殻類だ。エビやカニは大きな昆虫のように思えて幼い頃は甲殻類を食べる人や調理された甲殻類をみるだけで気分が悪くなったものだった。
 同様にこんにゃくも一般的に食品と見做されているが私には非食品のように思えた。なぜならこんにゃくは食感、味、食後感のどれをとってもプラスチックやガラス玉に劣るところない "飲み込むべきではない感" を感じるためであった。
 私はこんにゃくを食べ物ではないのに食べても害のない素晴らしい素材だと考えている。ビー玉を舐めたりプラモデルのランナーを食べていることが明るみに出ると頭がおかしいのではと非難をうけたり、うっかり飲み込んでしまうと健康を害するという重大なリスクがある。だかこんにゃくはそれがない。しかもこんにゃくならば安価で容易に食品グレードの物が手に入るのである。
 こんにゃくと同様にマウスピースも非食品でありながら口に入れるための製品である。こちらもこんにゃくに劣らず入手性が良い。私は運転や運動の際積極的にマウスピースを使用している。
 もう私はビー玉やポリスチレンを口に入れることがなくなった。そういった欲求は全てこんにゃくとマウスピースによって解消されている。
 こんにゃくにはしらたきや玉こんにゃくといった形状のバリエーションも多く、凍みこんにゃくなどの食感のバリエーションもある。こんにゃく万歳である。
 マウスピースにも素材や取付方法で様々バリエーションがつけられ飽きがない。さらにマウスピースには頭部への衝撃を弱める、より身体に力を込めやすくなる、集中力が高まるといった副次的な効果もある。マウスピース万歳である。